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推し 神奈川の妖怪伝説
「人々の生活が見えてくる」 幽霊や妖怪に詳しい東雅夫さんに聞く妖怪


 日本各地に伝わる伝説の地を訪ねたり、明治の文豪をはじめとする作家たちの怪談話を編集したり、と幽霊や妖怪に詳しい東雅夫さん。「妖怪はそこに暮らしている人々の生活と分かちがたく結び付いている。妖怪を見ていると、人々の生活が見えてくる」と話す。

 「人間は何か脅威に感じるものがないとかえって不安になる。怪異におまじないを施すことで、守られた状態をつくり出した」。例えば一つ目小僧は、その特異な姿によって、人間が脅威を感じる対象だ。目の多いザルを掲げるなどの魔よけとなる行動をとることで、人々は安心や安全を求めたという。

 不思議で神秘的なものという概念的な存在だった妖怪に、具体的な姿と名前を与えたとされるのは、長く太平が続いた江戸時代だ。

 「平和な世では、恐怖を楽しんで味わうことも重要だった。いろいろなパターンの妖怪が考え出され、浮世絵、瓦版などの江戸のマスメディアに乗っかってもてはやされた」

 コロナ禍に注目された「アマビエ」は江戸後期に出現し、疫病や作物の出来などを予言したという。当時はコレラが流行しており、こうした「予言獣(じゅう)」は、疫病や社会的な不安と密接に関連しているという。

【関連記事】疫よけ「アマビエドーナツ」 コロナ終息へ願い込めて

 「半人半牛の件(くだん)は第2次世界大戦の折、戦争がいつ終わるかを予言したという。妖怪は普通の人々の恐怖心とつながっている」

【関連記事】厚木に伝わる半人半獣の姿をした妖怪・件 あつぎ郷土博物館学芸員・大野一郎さんに聞く

 現代では水木しげるさんの漫画などによって、妖怪は親しみを感じさせる存在になっているが「アマビエを引っ張り出してきたように、こういう時代でも日本人は真剣に妖怪に救済を求めるところがあり、面白い」と話した。

優れた文章で恐怖の体験を



 写真左は近刊の「文豪怪奇コレクション 恐怖と哀愁の内田百閒」(双葉文庫、825円)。「百閒は何げない日常の怖さをうまく表現する。優れた文章で恐怖を体験して」と東さん。夏目漱石の弟子だったので、同じシリーズの「幻想と怪奇の夏目漱石」(836円)=同右=も合わせて読みたい。どちらも東さんの編書。




 ひがし・まさお アンソロジスト、文芸評論家。1958年、横須賀市生まれ。県立横須賀高校を経て、早稲田大卒。「幻想文学」「幽」編集長を歴任。「遠野物語と怪談の時代」(角川選書)で2011年日本推理作家協会賞受賞。主な編著書に「文豪怪談傑作選」シリーズ(ちくま文庫)、「百物語の怪談史」(角川ソフィア文庫)など多数。

2021年7月31日公開 | 2021年7月24日神奈川新聞掲載


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